がんの死亡率は都道府県別で大きな差があった!?

みなさん、ご存知でしょうか。厚生労働省が公表している平成27年の死亡数を死因順位別にみてみると、死因の1位は悪性新生物(がん)で37万131人もの人々が命を落としています。2位は心疾患で19万5933人、3位は肺炎で12万846人となっています。
悪性新生物(がん)での死亡率は年々増加しており、平成27年の全死亡者に占める割合が28.7%もあり、全死亡者の約3.5人に1人は悪性新生物(がん)で死亡しています。

全国健康保険協会によると、2人に1人ががんになるといわれており、がんという病気は決して他人事ではなくなってきました。

がんは発見が遅れるほど治る確率が低くなり、いかに早期に発見し治療を行うかが重要といわれています。普段の生活習慣でどういったことに気を付ければがんの発症確率を低減できるのかという議論はTVや本、インターネットなどで目にする機会が多くなってきたと感じます。

しかし、都道府県別でがんの死亡率に大きな差があることを知らない方は多いのではないでしょうか。この都道府県別のがん死亡率をみていくことで、今までとは違った角度でがんを知っていただければと思います。

都道府県別のがん死亡率

国立がん研究センターが実施した2015年の調査によると、都道府県別のがん死亡率は次のような結果となりました。

順位 男性 順位 女性
1位
青森:126.5
1位
青森:71.8
2位
鳥取:119.6
2位
秋田:68.9
3位
秋田:116.6
3位
北海道:68.0
4位
北海道:111.1
4位
岩手:62.9
5位
大阪:109.5
5位
福岡:62.8
6位
高知:108.1
6位
山口:62.4
7位
和歌山:106.8
7位
大阪:62.0
8位
愛媛:105.9
7位
長崎:62.0
9位
福岡:105.7
9位
茨城:61.8
10位
島根:105.2
10位
福島:61.6
11位
茨城:105.1
11位
神奈川:60.9
12位
佐賀:103.9
12位
沖縄:60.7
13位
長崎:103.8
13位
鹿児島:59.6
14位
富山:101.9
14位
東京:59.5
14位
香川:101.9
14位
愛知:59.5
16位
宮崎:101.7
16位
埼玉:58.8
17位
岩手:101.0
17位
鳥取:58.7
18位
鹿児島:100.7
17位
石川:58.7
19位
山口:99.6
19位
山梨:58.6
20位
福島:99.5
20位
兵庫:58.4
21位
埼玉:99.2
21位
岐阜:57.9
22位
石川:98.7
22位
栃木:57.7
23位
新潟:98.6
23位
千葉:57.5
24位
兵庫:98.5
23位
宮城:57.5
25位
宮城:98.4
23位
佐賀:57.5
26位
東京:98.0
26位
宮崎:57.3
27位
三重:97.2
27位
福井:57.0
28位
栃木:96.9
28位
和歌山:56.9
29位
千葉:96.3
29位
群馬:56.1
29位
徳島:96.3
30位
静岡:55.6
29位
岐阜:96.3
31位
高知:55.3
32位
岡山:95.9
32位
三重:55.0
33位
群馬:95.8
33位
島根:54.9
34位
沖縄:94.9
34位
熊本:54.5
35位
神奈川:94.2
34位
富山:54.5
36位
山梨:94.0
36位
新潟:54.3
36位
奈良:94.0
37位
京都:53.8
38位
京都:93.7
38位
広島:53.7
39位
愛知:92.4
39位
滋賀:53.6
40位
広島:92.2
40位
愛媛:53.5
41位
静岡:92.1
41位
大分:53.4
42位
熊本:92.0
42位
奈良:53.1
43位
山形:91.2
42位
香川:53.1
44位
大分:90.0
44位
山形:52.6
45位
福井:86.2
45位
徳島:51.3
46位
滋賀:86.0
46位
岡山:49.4
47位
長野:75.9
47位
長野:49.0

国立がん研究センターがん対策情報センター「がんの統計‘16 都道府県別死亡データ」より

なぜ都道府県によってここまで差がでるの?

都道府県別のがん死亡率が1位の青森県と47位の長野県では、男性で50.6ポイント、女性で22.8ポイントもの差があります。なぜ、同じ日本人でここまでの差がでてしまうのでしょうか。あらゆる情報をもとに考察していきます!

野菜の摂取量の差

厚生労働省は野菜の1日の目標摂取量を350gと定めています。野菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれているため、野菜をたくさん食べることで様々な病気の予防に効果があるとわれています。ただ単に野菜を350g食べるのではなく、緑黄色野菜120g、淡色野菜230gの計350gの野菜を食べることもポイントの一つとされています。
また、日本のファイブ・ア・デイ協会は、「1日5皿分(350g)以上の野菜と、200gの果物を食べましょう」をスローガンに食育活動を推進しています。その結果、以下のような効果があると告知しています。

野菜・果物の摂取と健康的な生活との関連性
野菜・果物が、代表的な生活習慣病である脳卒中や虚血性心疾患、また部位によっても異なりますが、がんのリスクを低下させるとする疫学的研究は多く発表されています。
WCRF(世界がん研究基金)とAICR(米国がん研究財団)による報告では、非デンプン性の野菜は口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がんの発がんリスクの低下に“ほぼ確実”と報告されています。

一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会より

ちなみに、厚生労働省が公表している「平成24年国民健康・栄養調査報告」によると、長野県の1日あたりの平均野菜摂取量は47都道府県の中で唯一、男女ともに350gを超えています。

  • 男性 全国平均:297.0g 長野県:379.4g
  • 女性 全国平均:280.2g 長野県:364.8g

野菜摂取量だけが直接的な要因ではないにしろ、野菜の摂取量の差ががん死亡率において何らかの影響をもたらしているのかもしれませんね。

過去の教訓を活かした健康への意識改革

雪国ならではの特徴ともいえますが、冬場の保存食として漬物などを多く食べることから、実は長野県は塩分摂取量が多い県なのです。塩分摂取量が多いことで脳卒中リスクが高まり、1960年前後の死亡要因の大部分が脳卒中でした。

このままではまずいということで、塩分摂取量を減らす減塩運動を県が施策し力を入れました。塩分過剰摂取による健康被害の情報公開、減塩指導などに力を入れ、長い年月をかけて県民の健康への意識改革を進めてきました。その効果もあってか、健康意識の高い県民が多くなったといわれています。

かつての教訓を糧に健康への意識改革を行ってきたことが、がん死亡率にも影響しているのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。独断と偏見での考察かもしれませんが、普段の食生活を見直すことで何かが変わるのではないでしょうか。がんという病気は早期発見が重要なのは間違いありません。しかし、がんになりにくい食生活や体質改善などを心がけることで、もう一歩手前の段階からできることもあるかと思います。お子様の食育やご自身を含む家族の健康を意識している方にぜひ読んでいただきたいのでブログに書いてみました。