腎臓病や腎機能低下時に注意すべき野菜の食べ方|カリウム制限

腎機能が低下した場合、食事制限にてバランスコントロールをしてあげる必要があります。
一般的に制限すべき代表例は、たんぱく質塩分カリウムの3つです。
このうち、野菜に多く含まれるカリウム制限についてご紹介していきたいと思います。

カリウム制限はなぜ必要性?

腎機能が低下すると、本来腎臓から排出されるべきカリウムが体内に残り蓄積されてしまいます。
必要以上に体内にカリウムが蓄積されると、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
そのため、腎機能が低下した場合はカリウム制限が必要となります。

腎機能が正常の方は、カリウムを適切な量排泄でき、過剰症を引き起こすリスクも低くなっていますのでご安心ください。

高カリウム血症とは?

高カリウム血症になると不整脈を誘発する恐れがあり、最悪の場合は死に至る可能性があります。

野菜の摂取は必要!

カリウムは、野菜や果物に比較的多く含まれています。

ただし、誤解しないでいただきたいのが、野菜を食べなければ良いという考え方です。
人が生きていく上で重要な栄養素が野菜には多く含まれています。

野菜を食べること自体を断つのではなく、調理方法でカリウム量を低減できる術を知っていただくことが重要です。

カリウム含有量を低減する調理方法

カリウムは水やお湯に溶ける性質を持ち合わせています。
その性質を利用し、カリウム量を低減する調理方法をご紹介していきます。

茹でる

一番おすすめなのが茹で野菜です。
野菜を茹でることによって、カリウム含有量を低減できます。

お湯の量が多く、茹で時間が長いほどカリウムの除去率は上がります。
ただし、茹ですぎると食感や味が落ちる野菜もあるため、茹で時間目安は以下をご参照ください。

  • 葉物類3~5分前後
  • 根菜類10~15分前後

茹で汁にはカリウムが含まれているので捨てましょう。
茹で時間は、野菜の種類によって工夫することも大切です。

流水でさらす

水で洗い流すことによりカリウム量を低減できます。
ただし、茹でる調理法と比較するとカリウム除去率は低めです。

さっと流しただけではあまり効果が表れません。
10~20分程度水にさらすなど、一手間加えた方が効果は表れます。
水にさらしている間、中の水を1,2回入れ替えると効果が増します。

切り方

野菜の断面が多いほど、カリウムの流出が増えます。
そのため、野菜の切り口はなるべく大きめにカットするか、細かく小さく切ると良いでしょう。

  • 根菜類は小さく切る。
  • 葉物野菜は細かく切る。
  • きゅうりなど生で食べる野菜は薄めに切る。

果物は?

果物の場合、茹でるという方法は難しいですね。
さらに、流水にさらすことが難しい果物も中にはありますよね。
そんな時は、フルーツ缶タイプの果物がおすすめです。
加工や精製処理がされると、含有量が減少していく傾向にあります。

カリウムの食事摂取基準

「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」では、1日の摂取目安量と目標量を設定しています。
このデータによると、1日あたりの目標摂取量が15歳以上の男性は3,000mg以上、同じく15歳以上の女性は2,600mg以上とされています。

腎機能が正常である場合は食事で過剰症になる可能性は低いです。
通常の食事をとっていれば、カリウムの欠乏症リスクも低いです。

性別・年代別の数値は以下のとおりとなります。
※数値は腎機能が正常であることが前提となります。
※腎機能が低下している方は医師に相談し、どの程度摂取をすればよいのか確認をお願いします。


カリウムの食事摂取基準(mg/日)

男性 女性
年齢等  目安量  目標量  目安量  目標量
0~5(月)
400
400
6~11(月)
700
700
1~2(歳)
900
800
3~5(歳)
1,100
1,000
6~7(歳)
1,300
1,800以上
1,200
1,800以上
8~9(歳)
1,600
2,000以上
1,500
2,000以上
10~11(歳)
1,900
2,200以上
1,800
2,000以上
12~14(歳)
2,400
2,600以上
2,200
2,400以上
15~17(歳)
2,800
3,000以上
2,100
2,600 以上
18~29(歳)
2,500
3,000以上
2,000
2,600以上
30~49(歳)
2,500
3,000以上
2,000
2,600以上
50~69(歳)
2,500
3,000以上
2,000
2,600以上
70 以上(歳)
2,500
3,000以上
2,000
2,600以上
妊婦
2,000
授乳婦
2,200

「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」より

カリウム含有量

どの野菜にどの程度のカリウムが含まれているかご存知でしょうか?
参考までに以下の「野菜・いも類・豆類」のカリウム含有量をご覧ください。

100gあたりのカリウム含有量
ほうれんそう
690mg
さといも
640mg
枝豆
590mg
にら
510mg
小松菜
500mg
さつまいも
470mg
春菊
460mg
かぼちゃ
450mg
じゃがいも
410mg
ブロッコリー
360mg
ごぼう
320mg

まとめ

腎機能が低下して食事制限が必要になると、食べられないものがたくさん発生し絶望を感じる方も多いのではないでしょうか。

本日ご紹介したように、カリウムについては調理方法で含有率を下げることもできます。
カリウムの他にもたんぱく質や塩分の制限も必要となりますが、工夫一つで食べられるレパートリーも増やすことができます。

食は生きがいと感じる方も多いと思いますので、まずは食事療法を学び、生きていく上での「楽しみ」を見失わないことが大切だと思います。

この記事で、その「楽しみ」のきっかけを見つけていただければ嬉しいです。